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直伝 建具作りのコツ 産地で選ぶ木材12月

守谷和夫 守谷建具(埼玉県)代表

質問
 木の産地によって建具用の木材は性質が異なりますか?守谷さんは経験上、材質をどのように見立てていますか。

守谷
 木曾桧(ひのき)はアテ(*1)が多いね。以前、木曽桧を丸太で何十本も買い付けていたことがあったんだ。そうするとアテが多くてはずれの丸太が多いんだよ。アテとそうでないのは、感触とか色が違うからね。でも挽いてみないと分からない。材質がやわらかいから、風あたりの良いところに立っていた桧なんか特にそうで、丸太の半分だけ狂って使いもんにならなくなる。しかし、強度はあるから使い方次第では活きてくる。一本何十万の銘木を買った場合、アテがあると大損だよ。

 こういうと木曾ヒノキのことをバカにしているなんて逆恨みされるかもしれんけど、いい所もあるんだよ。東京や埼玉の杉や桧は、強度はあるけど狂いやすい。構造材にはいいけど、造作材向けじゃない。でも木曾の桧は、柔らかくて強度があるんだ。ああいう材は他にはない。だからブランドになるし高値で取引されるんだ。組子細工は、東京や埼玉の杉や桧じゃできないけど、木曾の木なら柔らかくて強度があるからできるんだ。どちらかというと構造材よりも造作材向けなんだろうな。

 吉野桧が平均して使いやすいな。適当に軟らかくて、材質も丈夫で色もいいし、アテも少ない。建具材にも建築材にも向いてる。

 高知の桧(土佐桧)はよくサッシに使うよ。高知の桧は目が粗くて重くて丈夫、しかも安いからな。目が減らなくていい木だよ。

 それと葉がらし材(*2)というのがあるだろ。あれは強度が弱くなるね。造作材にはいいが構造材に良くない。昔は葉がらしをすると木材が軽くなるからやったんだよ。今は葉枯らしをすると強度が弱くなる。なぜかって当たり前だ。12月、1月に切って半年ほったらかしにして腐りやすい時期に山から出すんだから木が弱くなるに決まってる。


(次号につづく)


守谷和夫(2014)「直伝 建具作りのコツ 産地で選ぶ木材12月」、『インフィル・テクノロジー』12月号通巻第3回 P17、(株)エルエルアイ出版 より転載

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