PDF


加工機械
框組みドア専用加工機を開発 国産杉・ヒノキ用で初めて

木工機械メーカーのアイキューワン(静岡県浜松市)と守谷建具店(埼玉県所沢市)は、無垢材(杉・桧)を使った框組みドアの専用加工機を共同開発。1月28日に報道陣に初公開した。(写真・レポート 上村)


[框組み加工機をアレンジ]
 この機械の原型となったモデルは、以前、ハウスメーカーで框組みドアを自社製造していた際に導入された実績がある機種である。その後、ハウスメーカーのドアは大量生産に適したフラッシュドア(台板とシート等を重ね貼りする製法のドア)に替わったため、アイキューワンの開発室の倉庫で眠っていたが、近年の国産無垢材を使った框組みドアのニーズが追い風となってアレンジされて再び市場に送り出されることになった。
 開発の課題となっていたのは、国産の杉や桧の無垢材に適した加工精度の追及であり、木工機械の設計や無垢材の性質に詳しい守谷建具店の守谷和夫社長(写真)の全面的な協力を得て進められた。
 この加工機は、機械業者の間では、「センターバイス式小口ボール盤」と呼ばれている。この機械の中心部にある多軸ボーリングアタッチメントの馬力は、従来機だとMDFやLVLの加工向けに1.5キロの馬力にしていたが、無垢のヒノキにも対応するために従来比の2倍を超える3.7キロの馬力に改良された。


[初の国産無垢ドア加工機]
 守谷建具店では、自社の機械加工の工程を動画で撮影したビデオを自社のホームページに掲載しており、インターネットを通じて一般に公開している。守谷建具店の機械の主力となっているのは、NCマシン(SHINKS製)であり、枠組みや面材の加工、ダボ加工、ロック加工まで一台でできる全自動のドア加工機である。10数年前に開発され、日本初の国産無垢材の框組みドア向けに機械設計されたもの。
 このNC加工機以外にも今回新たな半自動のドア加工機を開発した動機はメンテナンス上の理由である。生産量が一定以上を超えた場合、主軸への負担が大きいダボの加工を他の機会に振り分けた方が、メンテナンス上効率が良くなってくる。
 また、建具屋の技能の継承や設備投資にかかるコストの負担ということも重要である。NC加工機による全自動化は生産性の向上やドア一枚当たりのコストダウンの実現には欠かせないが、住宅着工の減少が進む中、2000万円超の設備投資の負担は小規模の建具製造業者にとっては苦しい。小口ボール盤を国産無垢ドアに対応できる精度にまで高めることで、国産無垢材を使ったドア加工への参入の障壁を低くするということも狙いである。導入された加工機の治具は、守屋建具のドアの仕様に合ったものであり、今後他社で導入する際には、各社で自社のドアの仕様に適した治具を作る必要がある。アイキューワンによると木製のみならず樹脂素材などで製作することも可能であるという。


[加工精度が飛躍的に向上]

 また、守谷建具店からの要望で加工精度を従来機よりも徹底的に高めた。近年の機械加工に使う刃物では、刃物メーカー側でダボ切の在庫がなくなり、印籠、つまりフラットな部分がついていたダボ切り専用刃ではなく、ネジ状の刃物一辺倒となりつつある。ネジ状の刃物は先端がよく研究されていて、刃先で毛先がピチットと入っていき、仮に10パイだとしても、けさきがくってくれるので10パイで入っていく。開けるときはそれでいいが、戻るときにもふれてもどっていくので、結局余計に食って穴が拡がってしまう。今回開発された機械は、止まりながらもどるので、無理をせずに電源が切れる。あける時は刃物がいいので10パイなら10パイで入る。生産性を求めれば電源を切らない方が電力浪費は少ないが、精度を求めるのであれば、一加工ごとに止めるのが鉄則だ。




試験加工したダボを組んで180度回転させる。両面ともに手ざわりなめらかで連結部の段差が全くない。加工精度が非常に高いことがわかる



上桟、下桟、框組の治具(木製)を守谷建具店が開発写真はデモ機。実際の販売では建具メーカーの仕様に応じて樹脂又はスチール製の治具を個別製作する


今回開発された機械は一旦ダボ加工をすると止まりながら専用刃がもどるので、刃先がブレて穴が拡がることがない
旧式の専用刃(左)と進化したダボ専用刃(右)
守谷建具店オリジナル 国産ヒノキ100%の框組みドアが完成した

『インフィル・テクノロジー』2月号 2015年2月20日発行 通巻第5回、株式会社エルエルアイ出版 より一部改変のうえ転載(原文はPDF参照のこと)

home へ