不燃紙・不燃木材の開発 特別寄稿 – 『月刊住宅ジャーナル』2019年10月号掲載

守谷インテリア木工所が月刊住宅ジャーナル(株式会社エルエルアイ出版) 2019年10月号で紹介されました。以下に転載します。
全文はこちら( monthlyhousingjournal-1910d2 )。

特別寄稿 不燃紙・不燃木材の開発

守谷建具 代表 守谷和夫

不燃木材開発のきっかけは、今から40年ほど前に、もとの作業所の床下の中央に積もっていた木くずが自然発火したことです。当時は発火の原因が不明でした。その後、地元の所沢で所沢駅前大火があり、原因は、食品店で翌日販売の天ぷらを前日に揚て山もりにしていたそうで、酸化作用により発火したそうです。現在ではたまに自然発火のニュースがテレビで放映されるので、多くの人が知っていると思われますが、木くずの油分は、ごくまれに自然発火するのです。これは木工所にとって知って置かなければならない知識です。
現在まで木材の不燃に関しては、色々な実験をしてきましたが、いくつかの結論にたどりつきました。不燃木材の欠点は、一つ目はコスト、二つ目は製作から3年~4年後に起きる白化現象でしたが、薬剤のコストは下げることができました。1Lあたり50円~100円でできるようになりました。白化現象を防ぐ決め手は薬剤濃度です。濃度5%~10%であれば白化現象は起きません。
和紙の不燃化で気づいたのですが、和紙の状態では薬剤濃度で約30%が必要でした。パルプの状態では、5%~8%の濃度で不燃化ができました。木材をパルプと同じ状態にすれば実現できます。今まではどこのメーカーでも杉の白太部分を使用して製作しています。全体の80%は注入できますが、濃度が濃いので白化現象は防げませんでした。今までは杉の乾燥材を150℃で加熱し、真空に近い状態にすることによって細胞破壊ができました。「第47回日本木材学会発表1997年 守谷和夫 守谷建具店 実用機」は、埼玉県のフォレスト西川にあります。しかし、時間とコストがかかり、細胞を完全に破壊することは不可能でした。他の方法として生木または乾燥材白太に水分を注入し、加熱後に体積を4分の1に圧縮し、水分を絞り出し、元の体積に戻る作用を応用して不燃材を注入しましたが、完全な不燃化にならず白化現象が起きました。
新しい方法は、加熱減圧の改良です。NHKの朝のドラマのインスタントラーメンの初期の乾燥方法と同じ天ぷら乾燥です。木材の乾燥技術として、パラフィンを80℃から100℃に溶かし、木材を天ぷら状態にすることにより、内部割れもなく、急激に乾燥させる技術が紹介されました。この技術を応用することにより、他の方法で急激に絶乾状態にできることに気づきました。ここでの細胞は、急激に絶乾状態にすることで、破壊されます。
和紙を5%から8%の濃度で不燃化させるには作り方のコツがあります。楮(こうぞ)の皮を微細な繊維にするために、木づちで叩くことにより、細胞が破壊されて強度が増し、不燃化できるのです。木材も同じ植物繊維なので、同じ状態にすればよいのです。
木材の細胞内部に5%~8%の不燃薬剤を完全に注入する方法は、減圧と加圧を同じ容器の中で同時に行うことです。減圧は真空に近い状態を増幅することはできません。しかし、加圧は機械的に増幅することができて、真空状態に耐えれば、圧力容器は不要です。木材には圧力はかかりますが、容器にはかかりませんので、破裂しないので安全です。容器のコストはかかりません。減圧と加圧を同時に行うことにより、薬剤を細胞にからませることができます。
この加工技術は他の木材化学加工にも応用できます。
和紙または紙の不燃化技術は無償で開示しますので利用してください。木綿の布にも応用できると思います。また、木材高度加工技術についてもご相談ください。