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樺材のオリジナル取手
当社オリジナルの取手です。樺材。
欅材と桐材を使った巨大木製車輪 芸術作品として佐原/都内で展示 – 『住宅ジャーナル ウッドテクノロジー』2023年06月号掲載
守谷インテリア木工所が住宅ジャーナル ウッドテクノロジー(株式会社エルエルアイ出版)2023年06月号で紹介されました。以下に転載します。
全文はこちら( jwt_2306d1.pdf )。
欅材と桐材を使った巨大木製車輪 芸術作品として佐原/都内で展示
美術作家 東弘一朗 × 有限会社守谷建具店(埼玉県所沢市) × 佐原みらい運河株式会社(千葉県香取市)
長年の確立した技術として、先代の技を受け継いで製作を続けることが多い木工・建具業界において、守谷インテリア木工所(有限会社守谷建具店、所在地:埼玉県所沢市、守谷和夫代表)は、無垢材を使ったドアや特注品の建具・木工家具等の製作において、物性を理論化して製造に取り組んでいることから、業界では珍しい事業者として知られている。
今年4月には、アート作品の部材として木製の車輪を製作するようになった。千葉県香取市で開催される佐原の大祭の山車に用いられる地元でハンマ(半間)と呼ばれている木製車輪である。高さ9m、重量4トン超の山車を動かす直径約1mの大きさのハンマをモチーフとして、約2倍の大きさ(直径1.8m、厚みは270mm。1輪あたりの重量は約150キロ)とした。表面には実際の山車で使われるハンマと同じ材質の欅材を張り、芯材には、搬入が容易になるように、桐の集成材を用いた。桐素材は軽いので、男性4人で運んだ。製作には、「朝5時半からはじめて、25日で間に合わなかったから、大体1か月かかった」(守谷代表談)とのこと。
耐久性に優れた木製車輪
守谷インテリア木工所では、今から8年前の2015年に、船戸区の山車のハンマを製作した経緯がある。24区の山車が曳き廻され、それぞれの地区が、独自に工夫してこだわっているが、中でもハンマは重要な箇所で、集成した箇所がはがれたり、デコボコに変形したりするので、「(接合部が)絶対にはがれない車輪にしてほしい」という依頼で製作。納品後好評で「6年経っても3mmしかすり減っていない」とのこと。各地区では12~13年で2cm減って事故防止のために交換されることが多いハンマであるが、船戸区では8年経った今でも損傷なく使用されている。
「関東3大祭り」として知られる佐原の大祭。全国的に見ても珍しいのは、約4tの重量の山車を、木製の車輪で曳き廻すことである。使用頻度が高く、佐原の大祭(7月の本宿祇園祭と、10月の新宿秋まつり)の他に、年8回(2023年計画)の特別曳き廻しも行っており、年間で約10回もの曳き廻しがある。山車の曳き廻しは、全国の祭りで行われているが、祇園秩父・高山の「3大曳山」をはじめとして主要な祭りの山車では、金輪つきの車輪が用いられている。これは、木製の車輪に焼いた鉄輪を直接押しつけて鉄が冷えて収縮する性質を利用して固定する伝統的な鍛冶技術である。金輪を使わない木製の車輪は、源氏車(御所車)とも呼ばれ、漆器や蒔絵の文様としても知られている。水紋と一緒に描かれることがあるのは、水車としての用途のほかに、乾燥すると割れるので、川の水に漬けて保管していたためと考えられる。佐原では戦前、松の大木を輪切りにして、泥田に漬けて使用していた(現在は専用のガレージに格納)。舗装道路での曳き回しや、文化財としての保存方法、小径木の集成による有効利用など、現代の状況に応じて独自の木工技術として進化を遂げたと考えられる。
製作にあたっては、サブロクサイズで1枚12kgの桐の集成板(1枚30mm厚)をサンダーで厚さを1割減らし円形にして1枚9kgとし、穴だらけにして7kgに軽量化。65mmの半ねじを1輪2000本2輪で4000本埋め込んだ。表面の化粧材の欅(12mm厚)は大手張り(フラッシュドアで用いる製法)と同じ方法で留めてあるが、硬いために仮止めには仮釘に蝋を塗り固定。本止めには鉄のフィニッシュネイルでは引き抜きができず、ステンレスを使用。引き抜きの穴は砥の粉で埋めて塗料で固めた。昔の自動車の板金において、砥の粉にラッカー(ニス)を混ぜてぬって、硬くなってからやすりでならしていたことを参考にした。仮釘が入りやすくするために昔は石鹸を使っていたが、アルカリ性で腐食するので、蝋やシリコン素材が使いやすい。こうした摩擦抵抗を減らす工夫は、医学用の注射器においても、針の激痛を抑えるためにも応用されているという(針を細くしているほか抵抗値を減らす素材を使用)。桐材は、全部で9枚。円形の9分の1(40°)ずつずらしながら留めた。40°ずらして付けると360°でひとまわりして、固定される。90°で留めると、長さと巾にずれが生じるほか、接合部が集中し、木端などの弱い箇所から壊れ始めて、しだいに、6角形や8角形に変形してくる。そのため、40°に留めることで摩耗しても円形を保つようした。中央部には、NCルーター(直径16mmのスパイラルルーター)を使って、片側から入れ、直径約150mm孔をあけた。下水管の寸法を基準にして、トンネルのように掘り、下水管を差し込みながら組み立てることで、微細なズレを抑えた。
アート作品として注目
こうした佐原のハイテクを駆使したハンマに魅了されたアーティストがいる。車輪をテーマとした芸術作品で注目を集める若手美術作家の東弘一郎氏(25歳)である。東氏は、自転車のペダルで漕いで回転させることができる展示用の軽量なハンマを守谷氏に依頼。東氏自身が運営する茨城県坂東市にある鉄工所(あずま工房)でシャフトなどの鉄製の軸材などを製作し、「東弘一郎個展:デッカ・ハンマ・タイヤ・プロジェクト」として、4月20日~5月14日の期間で香取市佐原の「古民家ギャラリーいなえ」で展示した〔主催:佐原みらい運河(株)、佐原アートプロジェクト実行委員会、協賛:(株)エヌアイデイ、(一財)小森文化財団、企画協力:(有)守谷建具店、Color Lounge Art(株)、NPO法人佐原アカデミア、助成:(公財)クマ財団〕。
祭りが大好きな地元の人にとっては、この展示品を見ると、佐原の山車のハンマだと一目で分かるという。古民家いなえでの展示では、主催の佐原みらい運河(株)の立澤取締役が概要を説明。地元のお祭りを長年支えている方も駆け付けて、佐原の山車とハンマにまつわる、汲めども尽きぬ思いを語ってくれた。東氏は「今回の展示は、地元の人に見てもらうことがねらい。大変手ごたえを感じている。6月~7月にかけて都内で行う展示では、佐原の魅力を伝えていきたい」と語った。
自転車と一体となったハンマのアート作品は、代官山の「アートフロントギャラリー」にて初披露される予定。
【展覧会名】
東弘一郎個展「HANMA」
【開催期間】
2023年6月9日(金)2023年7月16日(日)
(水~金)12:00~19:00
(土・日)11:00~17:00
※休館日:月曜日、火曜日
【開催場所】
アートフロントギャラリー
東京都渋谷区猿楽町29-18
ヒルサイドテラA棟
Tel.03-3476-4868
東弘一郎『デッカ・ハンマ・タイヤ・プロジェクト』
東弘一郎氏の展示会『デッカ・ハンマ・タイヤ・プロジェクト』の作品制作に参加しました。展示会の紹介をします。
東弘一郎
「デッカ・ハンマ・タイヤ・プロジェクト」
この20年間で、数百万人の「ものづくり職人」が日本から消えたと言われています。職人技という言葉は、テクノロジーの進歩によりロボットに使われる時代が来るかもしれません。佐原で曳き廻しの山車を初めて見た時、東の関心は4トンの重さを支える、かじ取りの仕掛けのない半間(山車の車輪)と、それを製作した職人にありました。「下手なもの作ったら人が死ぬ。だから下手なものは作れない。」実際に佐原の半間を製作した木工所の職人を訪れ聞いた言葉は、匠の技を学習した機械からは聞けないものでした。東はこれまでに、各地でのフィールドワークを元に、その地域で捨てられた家庭内放置自転車を使い作品を制作し、もう一度それらに命を吹き込むことで大量廃棄という問題を浮き彫りにすると同時に、大量生産の陰で密かに消えていくものづくりの現場に目を向けてきました。
本展では、ひとりの木工職人が営む工場に東が通い協働制作した、高さ1.8mの「デッカ・ハンマ・タイヤ」を展示します。完成形は二輪となる予定の本作は、子供の力でも回転させることが可能となり、その異様なスケール感と視覚のイメージがもたらす矛盾は、鑑賞者の目を見えていなかったものへと向けさせます。
展示会の資料より引用
東弘一郎氏のプロフィール
2023-11-21 追記
東氏から提供された資料から抜粋して東氏プロフィールを紹介します。